ベンゾジアゼピン薬害の国家賠償請求集団訴訟暫定版>2020/6/12更新

 以下、現時点で未確定であるが、基本的な考え方を示す。ご意見がある方は、BYAまでご連絡ください。

1.集団訴訟の目的

 ベンゾジアゼピン国家賠償請求集団訴訟は、広く被害者を救済するために、診断書がなくても、「一定量以上のベンゾジアゼピンを服用していれば、被害を認める」ことを目指さなければならない。よって、現時点では未定であるが、「ベンゾジアゼピン副作用」の診断書がない被害者も原告に加わるべきではないかと考えている。

 請求は、①被害の実情の把握、②正確な副作用情報の提供、③治療方法の研究、④治療機関の設立、⑤専門知識を持つ医療者の育成及び⑥損害の賠償とする。

2.訴訟の計画

(1)提訴時期  2020年内の提訴を目指す

(2)提訴裁判所 東京地方裁判所

(3)訴訟費用  全国ベンゾジアゼピン薬害連絡協議会(BYA)が全額準備する

(4)原告    ①ベンゾジアゼピン処方の診療録及び②ベンゾジアゼピン副作用の診断書がある者が望ましいが、②診断書がなくても、原告に参加できる。ただし、3項の基本的方針に同意し誓約できる者とする。

(5)被告    国及びベンゾジアゼピン製薬会社

(6)弁護団   (準備中)

3.基本的な方針

(1)集団訴訟の原告団を維持すること

 英国では、1980年代に、患者14,000人の原告によるベンゾジアゼピン集団訴訟が提訴されたが、右文献によれば、「コンサルタントや証人の利害対立により、訴訟は取り下げられ判決に至らなかった。」とされる。日本でも過去の薬害訴訟をみると、原告団内部等の関係者が意見対立により分裂していることが多い。ベンゾジアゼピン薬害訴訟は、過去の薬害訴訟に比べて立証が、一層、複雑化しているため、過去の薬害訴訟と条件が大きく異なる。そのような困難な状況の中で、原告の分裂は致命的である。したがって、1つの原告団を維持することが重要であり、原告団の決定事項に従うことが不可欠である。なお、原告団が個別に各地裁で提訴する場合は問題ない。

(2)本集団訴訟はベンゾジアゼピンだけを対象とすること

 向精神薬及び抗精神病薬には多様な副作用が存在することが以前から周知であり、実際、多くの副作用被害者が存在する。しかし、それらの被害は、個別治療における処方技術上の問題であり、「薬害」ではない。一方、ベンゾジアゼピンは、日本における副作用の警告(医薬品添付文書の改訂等)は、PMDAの調査結果報告書(右報告書)により、諸外国から約40年近く遅れていたことが明らかにされており、それを原因として、国内では「ベンゾジアゼピンは依存性が低く、常用量では依存(常用量依存)を生じない安全な薬」と誤解され、精神科以外の内科等の一般診療科において大半が処方されてきた結果、我が国では「ベンゾジアゼピン薬害」が生じている。

 また、日本の裁判では、右資料のとおり、医療訴訟の認容率が18.5%(平成30年、最高裁統計)と、一般訴訟に比べて約5分の1しかなく、被害との因果関係は患者の原告側に全面的な立証責任があるため、ベンゾジアゼピン薬害訴訟においては、一層、薬物と被害の因果関係の立証が困難である。したがって、ベンゾジアゼピン以外の複数の薬物を混在させる訴訟は、因果関係の立証がほぼ不可能である。よって、本集団訴訟はベンゾジアゼピンだけを対象とする。

4.①ベンゾジアゼピン診療録及び②ベンゾジアゼピン副作用診断書の準備

(1)ベンゾジアゼピン診療録

 訴訟の証拠として診療録が必要になるが、何も、何十年も昔の診療録まで揃える必要はありません。ベンゾジアゼピン薬物依存に罹患しているに足りる処方用量があれば、十分です。例えば、ジアゼパム換算で数千mg以上の連用が証明できれば十分です。最悪、「お薬手帳」の記録で証明する方法もあります。

(2)ベンゾジアゼピン副作用の診断書

 ベンゾジアゼピンを処方した医師がそのような「自分に不利益がある診断書」を書くはずがありません。そのような状況も含めて、訴訟で争いますので、原告には必ずしも診断書が必要ではありません。あればベターというだけです。

(3)被害者の皆さんの❶診療録、❷診断書、❸医師の意見書の確認連絡を待っています。

5.ベンゾジアゼピン服用履歴の把握(更新)

(1)右添付のエクセル表のとおり(PDF版も併掲)、ご自分の「ベンゾジアゼピン服用履歴」を把握する。その際、診療録又は処方箋記録(お薬手帳など)の証拠を揃える。

(2)診療録は、受診した医療機関へ開示請求する。その際、診療録の保管期間は最終受診日から5年間のため(医師法)、廃棄されている場合もあるので、注意を要する。事前に受診して、診療録が残っていることを確認してから、開示請求する等の慎重な対応が重要になる。

6.集団訴訟の原告団の誓約書(仮):今後、弁護団結成後、最終誓約書を作成予定。

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誓約書(仮).pdf
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Modern PhysicianVol.34 No.6 長田賢一 他(テキスト認
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独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 添付文書改訂 調査報告書(2017年2月2
PDFファイル 462.3 KB
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平成29年度 医薬品・医療機器等安全性情報(No.342)_編集削除版.pdf
PDFファイル 916.2 KB
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地裁民事第一審通常訴訟事件・医事関係訴訟事件の認容率(平成30年度)最高裁統計.
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ベンゾジアゼピン服用履歴(BYA)【氏名】.xlsx
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ベンゾジアゼピン服用履歴(BYA)【氏名】.pdf
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